ウスターソースとスパイスの知られざる関係について
元店長です。
突然ですが、先日、串カツを食べに行ってきました。
大阪出身の身としては、串カツはソウルフードであり、「二度漬け禁止」等のローカルルールも誰もが知っている常識なのですが、最近はそのような「大阪スタイル」の串カツが東京にも増えてきており、嬉しい限りです。
さて、串カツ屋の命は、「ソース」です。
ラーメン屋の”かえし”あるいは鰻屋の秘伝のタレのように、串カツ屋は各店舗独自のソースを売りにしており、大体「〜年前から継ぎ足してきた秘伝のソース」といった枕詞がつきます。
黒々としたソースの中にカツをくぐらせるほどに、脂の旨味がさらに味わいを高めます。書いているだけでヨダレが出てきそうですが、このソースは元々「ウスターソース」と呼ばれる種類のものです(勿論店舗によって様々にブレンドされているでしょうが)。
ウスターソースは日本人にとって非常に馴染みの深いもので、おそらく皆さんも子供の頃からずっと口にされていることと思います。甘いような辛いような、スパイシーさも感じるこのウスターソース、長く親しんでいる割には、一体何から作られているのか、実は知らない人は多いのではないでしょうか?
wikipediaによると、
イギリスの元祖ウスターソースは、モルトビネガー等の食酢およびアンチョビ・タマリンド・エシャロット・クローブ・タマネギ・ニンニク、香辛料、糖類、塩などを材料にしている。同様に日本のウスターソース類も玉ねぎ・ニンニク・トマト・リンゴなどの野菜・果実に、糖類・食酢・食塩・香辛料・でん粉・カラメルなどを加えて作る。両者は外観、風味ともによく似ているが、日本のもののほうがカラメルによって甘みを強め辛さを抑えられており、とろみが強いといった若干の違いがある。
とあります。
簡単に言うと「野菜+調味料」から作られているわけですが、ある種麻薬的な風味に一役買っているのが、スパイスです。
深いコクは「クローブ」が、優しい甘みは「シナモン」が、豊かな香りは「ローリエ/ローレル」「セージ」などのハーブ類が、ピリッとした辛味は「ブラックペッパー」「レッドペッパー/チリ」などの辛味スパイスが演出します。更には、風味だけでなく、スパイスを加えることによって高い防腐効果も実現しているわけです。
また、一般的に、クローブやシナモンなどは、肉の臭みを消す効果があり、ハーブ類は魚の生臭さを旨味に変えてくれます。ソースがあらゆる料理に合う理由が、ここにもありそうですよね。
すでに余りにも日常に溶け込んでいて改めて意識することのないウスターソースですが、こういった観点から考えると、なかなかに手の込んだ、よく考えられた調味料だと思いませんか?
ちなみに、前述のwikipediaの引用内にあった「イギリスの元祖ウスターソース」ですが、最も有名なものにLea&Perrins社から発売されている「リーペリンソース」というものがあります。
日本のウスターソースに比べると、アンチョビが入っていたり、よりスパイシーだったりと、ひと味違いますが、旨味が濃いので、カレーやシチューに少し入れることで味を引き締める、といった使い方もできます。
昔は専門の輸入食材屋さんにしか置いていなかったのですが、今はかなり一般的に流通しており、スーパーマーケットなどにも置いてあることが多いです。
よろしければ、是非一度試してみて下さい。ウスターソースとスパイスの関係が、よりはっきりと感じられます。
(余談)
ちなみに、ウスターソースという名前は、イギリスのウスターシャー州・ウスターで作られたことに由来します。上記のリーペリンソースの画像をよく見て下さい。「WORCESTERSHIRE SAUCE=ウスターシャーソース」と書いてあるでしょ??