自宅でできる!?失敗しないスパイスカレーの作り方・その2「ホールスパイス・マジック編」
元店長です。
前回の「自宅でできる!?失敗しないスパイスカレーの作り方・その1「パウダーブレンド編」」に続いて、スパイスカレーの作り方第二弾「ホールスパイスの使い方について」をお送りします。
【ホールスパイスとは?】
前回も説明したように、スパイスには原型(ホール)のものと粉状(パウダー)の二種類があります。
一般的にパウダースパイスは料理に混ぜたり振りかけたり、と使い方が容易に想像できるものですが、ホールスパイスについては「どうやって使えばいいのか分からない」という方が多いのではないでしょうか?
ホールスパイスの使い方は、一概には言えません。
スパイスとは植物の「種子」「実」「根」「茎」等を乾燥させたものですが、当然部位によって形も大きさも全然異なります。
例えば↓↓↓のアジョワンのような、
いかにも「種子」という形状のものもあれば、
スターアニス/八角(果実)
シナモンスティック(樹皮)
のような個性的な形状のものもあります。
これだけ形が違えば、勿論使い方も変わってきます。
対象料理と使用スパイスの種類によって、ホールスパイスの使い方も様々です。
【カレーに使えるホールスパイス】
ちょっと前置きが長くなってしまいました。
本記事では、「自作スパイスカレーのためのホールスパイス」について説明します。
カレーに使うホールスパイスには、パウダーの場合と同じく、特に決まったものはありませんが、セオリーはあります。
パウダーと同じく、ホールで使う場合にも、基本となるのは「クミン」です。
クミンは「クミンシード」と呼ばれ、「種子系」のスパイスです。
パウダーブレンドにおいても配合の中心となるクミンですが、ホール使用の際にも立派な存在感でカレーの風味を下支えしてくれます。
極端な話、ホールスパイスに関しては、このクミンだけでも十分美味しいカレーが作れたりします。
その他のホールスパイスも、基本的にはパウダーブレンド時とほぼ重なります。
風味についてもパウダーと似ていますが(前回記事参照)、ホールスパイスの風味の方が、個々が主張せず、ベースの香りとなって料理全体を包み込んでくれる感じです。3-4種類、それぞれ一鍋あたりティースプーン1-2杯程度を使えば良いでしょう。
【テンパリングについて】
ホールスパイスの使い方は、いわゆる「テンパリング」という方法で油に香りを移して使います。
テンパリングの方法は、以下の通り。
(一鍋あたりの分量です)
- フライパン(あるいは鍋)に、大さじ4-5杯のサラダ油を入れ、弱-中火で熱する
- 油が温まってきたら、大きなホールスパイスから順に投入(例えばカシア→カルダモン→クミンの順)
- 焦げない程度の温度に保ちつつ、しばらくスパイスと油を馴染ませる
- 油に香りがついたら完成!
テンパリングで油に香りを移すためのスパイスを「スタータースパイス」と呼びます。
ポイントは、「絶対に焦がさないこと」です。
万が一焦がしてしまうと、カレー全体が台無しになってしまうので、全て捨ててやり直した方が良いくらいです。
コツは、スタータースパイス投入時の油の温度を高くし過ぎないこと。じっくり火を通すイメージでやれば失敗せずに済みます。
油に香りが移ったら、その油でおろし生姜、おろしニンニク、玉ねぎを炒めます。
玉ねぎが透明になってきたら、カレーのベースが完成です。
おそらく生姜とニンニクを投入した時点で、その超絶に素晴らしい香りに、良い意味での衝撃を受けることと思います。
油に香りを移し終わった後のホールスパイスは、大きいものはその場で取り除くか、遅くとも煮込み時にはすべて除くようにして下さい。種子系の細かいホールスパイスは、そのまま一緒に召し上がって頂いてOKです(細かすぎて除けないしね)。
この「テンパリング」という手法は、カレーだけでなく、他の様々なスパイス料理にも使える非常に効果的なテクニックですので、是非覚えておきましょう。
【まとめ】
前回のパウダースパイスと、今回取り上げたホールスパイスの両方があって、初めてスパイスカレーが完成します。
パウダーだけだと薄く味気ない感じになりがちですが、スタータースパイスを使って最初の油にしっかり香りを馴染ませることで、驚くほど出来上がりが変わります。
是非皆さん、トライしてみて下さい。
次回は、いよいよスパイスカレー連載最終回、「プラスワン・スパイスでさらにリッチなカレー体験を!!」をお届けします。